子供がいない場合

夫婦に子どもがいない場合、配偶者の一方が亡くなったとき、遺言を作成していないために不測の事態に見舞われることがあります。以下にその事例を挙げます。

遺言がないと、自分の妻(夫)と自分の兄弟や甥姪が遺産の分割をしなくてはなりません

AB夫婦には、子どもがおらず、Aの財産として現金1000万円ほどあり、夫A及び妻Bの両親ともに既に亡くなっています。
さらに、Bに兄弟姉妹はおらず、Aには昔から仲が悪い弟のCのみがいます。
このような状況において仮にAが死亡したとすると、Aの相続人は、妻B及び弟Cとなります(民法900条第3号)。このとき、いくらAが妻に自分の現金1000万円すべてを残したいと思っていても、Cも相続人となります。
※Cが先に亡くなっている場合はCの子ども(Aから見ると甥・姪)に相続権が移ります。

仮に、相続人BC間の遺産分割協議においてCがBに財産を譲ることを承諾すれば、Bが財産すべてを相続することも可能です。
しかし、Cとしては、Aの財産をみすみす逃す手はありません。
その結果、Cが仲の悪いAの妻Bのために自分の相続分を譲らなければ、Bは法定相続通り、Aの財産の4分の3にあたる750万円を、Cは4分の1にあたる250万円を相続することになります。
Bとしては、Aが死亡したときに当然Aの財産すべてを相続できると思っていたのですが、Aが遺言を残さなかったがために、BはAの財産の4分の3の相続となってしまいます。

このケースでは現金の相続なのでまだ良いかもしれませんが、このようなケースで相続財産が自宅しかない場合、残された妻Bが住む家の持分をCに譲ら なくてはならなくなったり、持分を放棄してもらうためにその分お金をはらわなければならない最悪のケースも想定しておかなくてなりません。

遺言を書いておけば

では、上の事例においてAが遺言を残していたならば、Bは、Aの財産すべてを相続することができたでしょうか。本事例においては、それが可能となります。

Aが「自己の財産すべてにあたる現金1000万円をBに相続させる」という内容の遺言を作成しておくことで、CはAの財産を相続することができなくなります。
なぜなら、Aの弟たるCには、遺留分がありません(民法1028条柱書)。
そのため、Aが遺言を作成しておけば、遺言とおりにAの財産すべてがBに相続されることになります。

このような手続きをとるだけでAの思いを実現し、Bに不測の事態に見舞われることもなくなります。
相続におけるトラブルで以上に多いのが、この「子どもがいないケース」ですが、これは遺言を書いておくことにより避けられるケースがほとんどです。
夫婦に子どもがいない場合には、兄弟姉妹や甥姪が相続人となり、相続手続きが複雑になる可能性が高まるため、早めに遺言を作成しておくことをお勧めします。

そして、Aが遺言を作成する方法として、自筆証書遺言や公正証書遺言という方法があります。
公正証書遺言は、公証役場において遺言の原本が保管されるため、自分で原本を保管しておく必要がある自筆証書遺言よりも遺言の紛失や、破棄等の危険性が低いといえます。

 

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