行方不明者がいる場合

相続人に音信不通の人や行方不明者が含まれている場合、裁判所へ申立てを行うことより遺産分割協議をそのまま進めることが可能です。どのような手続きをとればよいのでしょうか。

遺産分割協議による相続の手続き

遺産相続のとき、遺言書があってその法的効力が認められた場合は、原則的に遺言書通りに遺産分割が行われますので相続人の同意は必要ありません。ただ申告された相続財産のうち半数近くが不動産であるため、遺言書がある場合でも財産分与は遺産分割協議により行われることが多いのが現実です。

遺産分割協議とは

民法では、遺言書がない場合でも各相続人の遺産割合として法定相続分を定めています。しかし、財産が現金のみの場合でも、原則的に法定相続分に近い内容で遺産分割協議書を作成するが必要があります。

遺産分割協議について

遺産分割協議とは、被相続人の財産を各相続人でどう分けるかについて話し合うことです。相続人全員の合意があれば、法定相続分とは異なる割合で自由に分割することができます。

また、遺言書があった場合でも、相続人全員が合意した場合には、遺産分割協議により遺言書で指定されている内容と異なる方法で遺産分割をすることも可能です。

遺産分割協議の手続き

遺産分割協議を行うにあたり、まず相続財産の調査、法定相続人を確定する必要があります。その後、相続人全員で遺産分割協議に入ります。

行方不明であろうと相続人は相続人

ちょっと考えるのは,この行方不明の兄弟は無視して遺産分けが処理できないのかってこと。それができればいいですよね,,いやよくありません。連絡がとれなくてもその兄弟の相続権が無くなるわけではないので無視することはできません。

今回の相続の法定相続人は配偶者である母と子供で,その法定相続分は母が全体の1/2,子供があと半分を均等割した分です。兄弟が行方不明であろうと嫌いであろうと不義理であろうと,原則として当人は相続人であり相続分があるので,この人を無視して相続処理をすることはできません。

まずは行方不明者を探そう

じゃあどうするか。まずすべきはこの兄弟の行方を調べることです。当然ですね。行方を調べて住所が分かったら,そこにじっさいに行ってみるもよし,手紙を出してみるもよし。とにかく連絡をとって事情を話し,相続の話合いに参加してもらいます。

どうやって行方を調査するか。何も探偵事務所に頼む必要はありません。まずは戸籍や住民票を調査しましょう。本籍地の役場や最後の住所地の役場に行って,戸籍・住民票を請求してください。

戸籍や住民票を取れるのか?取れます。戸籍や住民票は本人の同意がないと取れないものであはりません。もちろん法律が定めた要件が揃えばですが,本人以外の者でも正当に戸籍や住民票を請求して受け取ることができます。今回は大丈夫です。戸籍や住民票をなぜ取れるか詳しいことを知りたい方は次の記事を読んでみてください。

どうしたらいいか

調べたけれども連絡がつかなかった場合はどうするか。これについて説明します。大きくは二つの方法があります。
行方不明者の代理人(不在者財産管理人)を裁判所に立ててもらう方法

行方不明者の財産を管理する必要があるときは,利害関係人から家庭裁判所に請求をして,この者の代理人を立ててもらうことができます。この代理人のことを不在者財産管理人と呼びます。適当な候補者がいなければ,裁判所は,弁護士や司法書士を選んでくれます。

財産なんて何もない?いや,今回の父の相続による相続分があります。これが管理すべき財産になります。不在者財産管理人は不在者本人の法定代理人なので,管理人が選ばれたら,管理人を兄弟そのものとして,父の相続の遺産分けの話を進められます。話合いがついたら,この管理人が遺産分割協議書に調印することになります。

不在者財産管理人を選んでもらうための裁判所の手続きなど詳しいことは司法書士に相談してください。詳細を教えてくれるはずです。裁判所に提出する書類の作成を依頼したり,手続の進捗について相談したりできます。

もう死んだことにしてもらう方法

もう長年行方不明で愛想が尽きた。もう彼のことは忘れて財産関係をとりあえず清算してしまいたい。そういう場合もあるはずです。もしそう考えられるなら,一旦兄弟を法律上死んだものとして法律上相続を開始させる手続があります。これを失踪宣告制度といいます。兄弟について家庭裁判所で失踪宣告という決定がされると,兄弟は法律上死んだことになります。兄弟について相続が開始するので,兄弟の相続分は,その相続人に引き継がれます。つまり兄弟の相続人と話をすればいいので,父の相続について手続を進めやすくなります。今回の場合兄弟に配偶者や子がいなければ母が相続人になるのでスムーズに手続できますね。

なお失踪宣告には二つありあります。災害などで1年行方不明の場合に手続できる特別失踪と,7年行方不明の場合に手続できる普通失踪です。通常はこの普通失踪の制度を利用します。

失踪宣告をしてくれるのは前述のとおり家庭裁判所です。関係者から書類を裁判所に提出して,失踪宣告の決定をお願いします。手続が分からなければこれも司法書士に相談してください。