遺産分割協議

遺産分割協議とは

「相続財産をどのように分けるか」について、相続人全員で話し合って決めることを「遺産分割協議」といいます。

遺産分割協議は相続人全員の参加が必須条件であり、一部の相続人を排除した遺産分割協議は無効となります。
よって、遺産分割協議を始める前には、入念に相続人調査を実施しなくてはなりません。
⇒ 詳しくは 相続人調査と財産調査 をご覧ください

遺産分割協議が終了した場合、再度争いや揉め事が起こらないようにするために遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書には相続人全員の署名・捺印 (実印) 及び印鑑登録証明書が必要です。
⇒ 詳しくは 遺産分割協議書の作成 をご覧ください

遺産分割協議のやりなおし

遺産分割協議は、成立した後にもう一度遺産分割協議をやり直すことが原則として出来ません。

ただし、相続人の一部を除外した遺産分割協議や、相続人でない者を加えた遺産分割協議は無効ですし、不動産など重要な遺産が漏れていた場合には、分割協議を錯誤によるものとして無効であると主張できる場合もあります。
このように、無効、取り消しの原因となる正当な理由があれば、一部または全面的にやり直すことは可能です。

これらの例外を除いて、遺産分割協議を撤回する場合には、遺産分割協議に関与した人全員の同意が必要になるため、多大な労力がかかります。

やり直しが認められる場合

やり直しが認められる場合としては、以下の場合が考えられます。

  1. 遺産分割時、相続人の意思表示に詐欺・錯誤・強迫などがあった場合
    (例)相続人が他の相続人に騙されていた
  2. 分割後に、分割時の前提条件が変更された場合
    (例)新たに遺産が発見された、新しい相続人が現れた
    ただし、新しく遺産が発見された場合には、前の分割は一部分割として有効になる可能性も十分にあります
  3. 相続人が全員やり直しに合意した場合
    (注意)新たに遺産分割協議を行なえば、過去の遺産分割ははじめから無かったものになります。

遺産分割でも相続放棄たしかに財産をもらいたくない人は全てを放棄することができます。もちろん、財産を放棄したい以上は借金等の債務も受けたくないわけですから、遺産分割で「私は預貯金や不動産も一切受け取らない。その代わりに借金も負いません」といった内容のものにすることができます。
 この遺産分割協議の内容も有効ですから、当然のことながら遺産分割で財産放棄をした人は借金を支払う義務はないと考えるはずです。しかし、実際はそうではありません。
 相続人全員の間で遺産分割協議をしているわけですから、もちろん他の相続人からは借金を支払えと言われることはありません。では債権者からはどうでしょうか?
債権者にとってみたら、別に遺産分割協議に参加しているわけではありませんし、相続人間の協議内容なんて知ったことはないはずです。それに、返済能力の無い相続人が借金全てを引き受けたとしたら、債権者の立場はどうなるでしょうか。 

 こういった場合には、債務の引受に関する内容は債権者に対抗(主張)することができませんので、相続人全員が法定相続分の割合によって支払い義務を負ったままです。たとえ、遺産分割協議の内容の中で誰かが借金を全て負うとなっていたとしてもです。

 これは、あくまでも内部で話し合った内容を対外的に主張することができるとなると債権者が害されてしまうこととなるため、遺産分割協議で債務(借金)の引受の内容については債権者に対抗(主張)することができないようになっているのです。それに相続人としたら相続放棄といった別手続きによって財産放棄をすることができるわけですから遺産分割で借金を負わないとすることを認める必要がないわけです。

といいますか、極論で言えば、遺産分割で借金だけ放棄できるようになってしまったらわざわざ部分的な財産放棄が認められていない相続放棄をする人がいなくなってしまいますので、借金を負いたくないなら相続放棄をしてもらえばいいわけです。

遺産分割と相続放棄の違い②「期限があるか否か」

 相続放棄についてはみなさんよくご存知のとおりで、「相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内」に行わなければならず、その期限が過ぎてしまうと原則認めてもらうことはできません。
 しかし、遺産分割についていえば期限の定めはありませんので、被相続人が亡くなってからすぐやろうが10年後にやろうが50年後にやろうが、いつやっても問題ありません。
 
 これは、あくまでも遺産分割は相続人間の内部的な話し合いですることが前提となっているため、あえて期限を設定することがないことが理由にあげられます。ですが、相続放棄は、プラスの財産もマイナスの財産も全てを相続しなくなるといった対外的な効果もあるため、なるべく早期に権利関係を確定させなければいけないことから3ヶ月といった短い期限制限が設けられています。
 
 上記①で説明したお話とつながってきますが、債権者として見れば相続人の中で誰が相続放棄するかわからない段階では借金の請求をどの相続人にしていいのか判断がつきませんので、こういった債権者を保護するため相続放棄には期限を設定しているということになります。